とことこと

JANUARY 25

美しい傷

大阪南船場にある『wad』は、現代陶芸家の作品を手にとってみることができるギャラリーだ。

今日はオーナーである小林 剛人さんに、今、パリで話題になっている、金継ぎのお話を聞きに!!

取材・テキスト:インジー・マソトゥ

週末を南フランスで過ごした。ミモザが咲きはじめたところ。春が来る匂いがする。

インジー: ここの空間、光も、置いてある器も、音楽も、すべて完璧なバランスでここにある感じがする。あなたのファッションも。

小林さん: 作業(金継ぎ)してるときは、冬でもTシャツだけなんですけどね。(笑)

この日『wad』では、丹波の作家、大西雅文さんの個展が開催されていた。
もう全部この人の器だけでいい!!と一緒にいたカメラマンが夢中でお皿を選んでいた。

インジー: ギャラリーの奥で金継ぎを?

小林さん: この奥に工房があって・・(カウンターの裏のアトリエに促される)朝10時くらいから12時〜13時くらいまでは金継ぎの仕事して、午後ギャラリーに立つ感じですね。

小林さんの金継ぎのアトリエ。作家の器をなおしながら日常で使ってください、という意味で簡易金継ぎを提案している。

インジー: なんかすごいいい仕事のバランスですね。

小林さん: 自分はアーティストにはなれないけど、金継ぎのような、細かい手作業はすごくあってる。でもそれだけじゃ、がた付いてしまって、こう人と話をするってことも、両方必要なんです。

インジー: ここにある陶器好きです。力強いですね。

自分の花入れの器のコレクションを、料理屋にリースするビジネスから、始まった。そうしているうちに、花を活けて欲しい、器をなおして欲しい、と頼まれるようになったのだそう。

小林さん: この作家は30代で、兵庫県の丹波に住んでて、山に入って、土取って、背負って戻ってきて、みたいな生活してる人なんです。

焼き物って、僕らと同世代の人も作ってるし、お茶作ってる人もそう。30代、40代くらいの人達が、昔のこともすごい勉強して、そこから本質を見つけて新しいもの作りをしてる。

インジー: あなたが『wad』で伝えたい価値って?

階下にカフェを併設している『wad』
「お茶を飲むところから、器のおもしろさに気づいてほしい」

小林さん: 毎日コーヒーを飲む人だったら、それを自分の気に入った器で飲む。もしそれが割れたり欠けたりしても、修復して使う。ものを大切にというより、自分の気に入ったものをちゃんと使う、というライフスタイルを提案したい。

WABI SABIは、フランスでも日常的に使われてしまっている形容詞だったりするのだが、また別の次元のような気もする。

『wad』での時間は本当に気持ちがよかった。調和がとれている、ということはこんなに心地がいいのか。

私は基本、フランス人は、ものを大切に長く使うことを美しいとしていると思う。

でもこの日本の文化はもっともっと能動的に思う。

そして"壊れた"を前提としているのも不思議でたまらない。

「9年かかってこの形になりました(笑)」傷を修復してくれるギャラリー『wad』のオーナー小林剛人さん。

『wad』 大阪市中央区南船場4-9-3 東新ビル 2F 3F
06-4708-3616

『wad』で普段使いのお皿を家族分買った。

(間違いなく壊してしまうだろう)娘達のお皿に、金継ぎしてもらおっ!という複雑な楽しみと一緒に。

"美しい傷"という発明は、誰によるものだったんだろう。そんなうっとりとした疑問が残る、午後を過ごした。

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