とことこと

OCTOBER 05

自然体のパリジェンヌたち。

初対面の米澤よう子さん。パリジェンヌを描く彼女のイラストからは、いつもとても柔らかくて優しくて、なんとも心地がいいと感じていました。評論も批評もなく、どこまでも自然体で描かれるパリジェンヌたち。

米澤さんの本を眺めていると、目にしているのがイラストであることを忘れそうになって、そこに描かれた人たちが話しだしたり動き出したりしそう。自分も一緒に同じ時間を同じ場所で過ごして、カフェから眺めているような錯覚に包まれる。

今日はそんな不思議な気持ちを感じるイラストを描く米澤さんと、おしゃべり。

取材・文:土本真紀
写真:Hidetoshi Fukuoka

米澤よう子さん
広告、パッケージ、女性ファッション誌、CM、web、書籍装丁など幅広く活躍する人気イラストレーター。パリジェンヌのおしゃれをテーマにしたイラストエッセイを多数刊行し、ベストセラーになる。「パリ流おしゃれアレンジ!1〜3(KADOKAWA)」「パリジェンヌ流シンプル食ライフ(文藝春秋)」「1/3の服で3倍着回すパリのおしゃれ術(幻冬舎)」など著書多数。

自然体でいるために、心も体も磨くこと。

「私がパリジェンヌに一番影響を受けたのは、考え方でしょうか。自然体で極力飾らない。でも、飾らないでいることって自分自身にスポットがあたることでもあるので、心も体も磨いておかないといけないんです。

磨くといっても特別なことではなくて、たとえば日々の中で喜怒哀楽を受け入れて、周りの人との交流するなど、ある意味単純なことです。

パリジェンヌは、衣食住全般がその人の価値観で統一されていて、頑固なわけではないのに考え方がぶれないんです。

こないだパリに行った時、カフェや公園で夢中になってイラストを描いていてすごく長い時間が経ってしまっていたんですが、誰にも白い目で見られないのも居心地が良かったですね。

気がついたら私が描いてる近くにオジサンが寝ていて、びっくりしたりして(笑)。自分の世界がどの公共の場所でも確保される。触れられないというか、そぅっとしておいてもらえるんです。どんな変わった行動でも、それぞれの人の世界を尊重してスルーしてくれるのは、パリ独特の距離感とも言えると思います。

私は、見えないカーテン、と呼んでいますが、こういう感覚も日本とはちょっと違うかもしれませんね」

パリに行くと、パリジェンヌはなんでこんなに可愛いんだろう、おしゃれなんだろう、と驚いてばかりだという米澤さん。でも、そもそも、なぜパリに?

「その話は長くなりますね・・・。実は、思い出すだけで涙まで出てしまいそう。

それまで走り続けるように暮らしていたところに、予定も想像もしていなかった病気などのアクシデントが突然舞い込んできた。ちょうど年齢的にも、それまでと同じままではいられないというような生理的な勘も感じていた頃でした。

いろんなことを乗り越えてひと段落したんですが、そうしたら、なんだかポツンとなってしまって。そんな時、本当にいろいろな偶然が重なって、呼ばれるようにパリに行きました。ガラスのハートのままパリに行ったんですが、そこで“よう子はよう子でいい”と、本質的なメッセージをと語りかけてもらった。パリという社会に救われたようにも感じているんです」

シンデレラ服やシンデレラ靴を、とことん探す。

どこか、パリに日本の昭和のような心地良さを感じたという米澤さん。パリジェンヌの考え方に影響を受けつつ、もちろん、ファッションやその着こなしなども参考になったことがたくさんあるそうです。

「パリジェンヌは、洋服を選ぶ時にとにかく試着をして、自分にフィットしたものをとことん探すんです。360度全身を全方位で見て、動きやすさや着心地をとにかくすべて確認するのがパリジェンヌ流。

それは、Vネックのカシミヤセーターのような、定番アイテムでも同じこと。Vの深さや角度、後ろから見た感じ、などなど定番だからこそ必ず試着して、あちこち確認しています。

これはパリに住む前、旅行で行った際のエピソードですが・・・ガードルを買いに行った時に、 “時間がないから試着はしない”と売り場のマダムに伝えたことがあるのですが、そうしたらもう、まるで鳩が豆鉄砲をくらった!(笑)ような真ん丸の目で驚かれてしまって。合わないものを買ってどうするの? ギフトではないんでしょう? とびっくりされました。

定番のものでも、しっかりと自分の体型や気持ちにフィットするものを選ぶからこそ、1枚でサラッと着て素敵なんだと思います。

今年の冬のおすすめは、やっぱりデコルテが綺麗に見えるカシミヤのVネック。それもまずはグレー色かな。少し鮮やかな綺麗な色もいいですね。

もしもVネックの開きの深さが魅せるデコルテの露出感に自信がないなら、肌色と同系色のインナー、それも少し光沢のある上質なものなどを内側に重ねてみてください。

遠目にはVの形を崩すこともなく、少し露出も減るので安心のテクニックです。パリジェンヌの着こなしを目指して、ぜひ今年は皆さまにもこだわりのVネックのカシミヤを1枚でシンプルに着ていただきたいですね」

コトニエの素敵さは、バックスタイルにもあり。

「あと、私ね、気づいちゃったことがあるんです。フレンチブランドは“後ろ姿フェチ”のパリジェンヌの厳しい目にさらされることもあって、たとえ定番アイテムでもバックスタイルに差があるんです。

コトニエのアイテムも、後ろの襟ぐりまで細かい計算がされていますね。あ〜、これもフレンチブランドならではだな、と。

パリ在住の頃も、もちろんコトニエに注目をしていました。とってもシンプルなアイテムが多いのだけど、体型や髪の色、身長、年齢などが違うさまざまな人たちが、それぞれの着方でコトニエのアイテムを着こなしているのがすごく良かったですね。みんな自分流のおしゃれアレンジを持っているんです」

これからは、ファッションイラストレーションを子どもに教えたい、という夢を持つ米澤さん。デジタル社会で育つ小さな女の子に、鉛筆やペンで描くアナログのイラストに触れて欲しいそう。

「純粋な子どもたちがどんな反応をしてくれるのか。すごく興味があります。大人の語る正しさとは違う、でも、間違っていない子どもの目線を私らしくキャッチしたいな、と思っています」

おしゃべりをしながらイラストも描いてくださった米澤さんの、楽しそうにペンを走らせる様子が可愛らしくて、ずっと一緒にいたくなってしまいました。自然体のパリジェンヌを知りたい人は、米澤さんに聞くのが一番の近道です。

- of the week -
米澤さんのイラストによる、パリジェンヌスタイルはここから

米澤よう子さん最新刊「おしゃれのパリ流アップデート(大和書房)」
「シャツワンピースを1日5変化、クールにキメる」「背中デザインにお熱」「3センチ上のウエスト&Bag」など、これからのショッピングに役立つだけでなく、自分のワードローブを新しく着こなす工夫も見つかる米澤さんの最新刊。1冊でいくつものプラススタイルが見つかります。必見!

NHK CULTURE 米澤よう子さんによる、横浜ランドマーク教室での秋講座も、ぜひ。

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