とことこと

AUGUST 31 / 母と娘の森

女の子研究、に熱心です。

「撮影してもらっているところを、ママ友に見られていたみたいなんです。後で連絡があって。なんだか恥ずかしい‥・」と、取材後にメールをくださった吉野ユリ子さん。

エディター・ライフスタイルジャーナリストなど多くの肩書きで活躍する、まさに今どきの“スラッシャー”です。今回は、彼女がまだ幼かった頃の、キュンとするストーリー。

取材・文:土本真紀

>>前回までのお話はこちら。

「私は、ずっと自分は男の子だと思っていたんです。名前もユリ子だし、もちろんカラダも女の子。

でもそんな自分にとても違和感があって。そのせいか、幼い頃から“なんとか女の人になって一生を逃げきらないと!″という感覚がありました。

同級生の“女の子らしい”子をマーキングして、泣き方、笑い方、遊び方、しゃべり方、ファッション、とにかくすべてを研究していて。今の私は、そうやって女の人を真似てきたことで出来上がっています(笑)。

だから、たとえばショートカットでノーメイクのまま過ごしているようなメンズライクな女性を見つけると、“あ、この人はどう転んでも女性として見られる自信があるんだな”って感じます」

……初めてお聞きしました。ビックリです。

男性と女性の遺伝子は染色体の構造の違いでパッキリと2つに分類されているわけではなく、なんとなくグラデーションのような構造になっている。そんなことを大人になってから聞いて安心したと語る吉野さん。この観察力、研究力が活かされての今の職業だったのか!

私の挫折は、まじめ挫折。

「女性ファッション誌は、言ってみれば、その時代の本物の女の子になるための提案をしているというところもある。

確かに、幼い頃の“女の子になろうとする”経験から、編集者に興味を持ったのかもしれません。今でもたまに少し酔った時などに“少年のような眼をしているね”なんて言われるとビクっとします。あ!ばれた!って(笑)。

私は、自己肯定力が弱いんです。これまで、ぶつかってきた挫折も、私流に名づけると“まじめ挫折”。

たとえば、ティーンネイジャーの頃から本は大好きだったんですが、大学で東京に出て来たら、本屋さんはそれまで田舎では目にしたことのないような量の本で溢れているし、読んでも読んでも、また倍速で増えていく。

勉強すればするほど、ビッグバン的に読まなきゃと思う本が増えていって。知ったことの量よりも、知らないことの量が増えていくんです。もう、焦るばかりです。

社会に出てから、仕事で人と触れ合うことや、自分自身が100%でなくても発言していかなければならない環境から、この“まじめ挫折”を徐々に乗り越えていったという感じです。

中でも転機は、勤めていた会社を辞めた時ですね。この頃も優先順位をつけたり、バランスを考えることができずに、いっぱいいっぱいになってしまって。

パンクして初めて立ち止まって、大事なものをしっかり見つめ直すことができたのかもしれません。きちんと食べて体を動かしてぐっすり眠ること。そうすることで頭がクリアになって、メンタルも落ち着いて朗らかでいられて、人間関係も仕事も良い方向に向かうと気づくことができました」

挫折を乗り越える方法は?と聞いてみると、中学生の頃にたまたま耳にして衝撃を受けた “悩むよりも迷うというルールを決めて”という、小椋佳さんの歌詞を教えてくださいました。

悩むというのはどうしたらいいか分からない状態。でも、きちんと選択肢にしてどうしようか、という状態にすれば迷うという状態。なるほど〜。パッと目の前が明るくなります。

大事なのは人間同士の触れ合い。

「私は、少しでも人の心を引っぱっていけるような発信を続けていきたいな、と思っています。最後に私の言葉を受け取ってくれる“人”を大切に想っています。心を動かして、行動してもらうにはどうしたらいいかを考えるんです。

あと、これからは、もっと“生”ということにもこだわりたい。やっぱり一番大事なのは人間同士の触れ合いで、本当に伝えたいことって、口伝でこそやりとりできることがあると思うんです。SNSなどでコミュニケーションはしやすくなりましたが、そこで削ぎ落されていしまっているものがかなりある。

直感や偶然やご縁などからのエネルギーを活かした仕事がしていきたいと思っています」

自分の人生に、自分で原稿を書いているような感じです、という吉野さん。マイナスの表現で書かれていたらマイナスの人生になる。だからいつも文章の終わりにスマイルマークが書いてあるような捉え方で、自分の人生をつくっていきたいそう。

5年後、10年後の吉野さんは何をしていらっしゃるのかな。ぜひおそばで観察&研究させてください!

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