とことこと

JULY 06 / 母と娘の森

復活する、刺繍の老舗メゾン

パリの右岸、2区にサンティエというエリアには洋服の問屋が並ぶ。洋服だけでなく、ここに来ればハンガーやラックなど、ブティックが必要なものが何でも揃う。そこの一角に、メゾン・サジューという刺繍好きには知られたお店がある。オレンジ色壁にSのマークが目印だ。

引き出しがたくさん付いた木の棚にはいろんな色のリボンや糸が並び、絵画のような刺繍の台紙も豊富に揃う。エッフェル塔をかたどったハサミまであって、ファンでなくても、思わず買って刺繍をはじめたくなってしまう。

ブランドのシグニチャーカラーのオレンジとブルーは昔の包装紙からインスパイアを受けて。
Maison Sajou
47,rue du Caire 75002
tel/01 42 33 42 66
刺繍用品だけでなく、リボンやボタンも扱う。

メゾンの創設は古く、1842年まで遡ることができる。日本でいうと江戸末期にあたる。当時は上流階級のマダムの趣味といえば刺繍で、その様子はルノアールの絵画などからもうかがい知ることができる。メゾン・サジューはシテ島にジャック・シモン サジューさんが小さいアトリエをオープンさせたのがはじまりで、絵柄と奥行きある色合わせが人気で、その後どんどんお店を拡張していった。

世紀が変わり、オーナーも変わったころ、メゾンはさらに大きくなり、定期的に刊行する刺繍本は人気を博し、フランスだけでなく、ロンドンやミラノでも賞をとるほどにまでとなった。しかし時代の流れには逆らえず、50年代にはクローズの憂き目にあう。

刺繍キットもあるので、未経験者でもはじめられる。
絵画的な刺繍台紙が自慢。100年以上前のアーカイブから復刻させたものも。

それから50年後、刺繍好きのマダム、フレデリックさんが刺繍に関する本を執筆しているうちに、メゾン・サジューの魅力にとりつかれ、遺族から版権を買い取り、見事にメゾンを復活させた。古いアーカイブから、絵柄を復刻。それをインターネットで販売していくうちに、評判が広まり、ついにパリにお店をオープンさせるまでに至った。今では北京に2号店を開店するまで成長。時代を超えても価値のあるものは生き残るということか。

糸の色が豊富なのも特徴。色のグラデーションを微妙にかえて、刺繍に陰影効果を。

Text /Hiro Morita

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