とことこと

NOVEMBER 17 / 普通のパリ

パリで毎年ある、写真の国際フェア "パリ・フォト" が、グラン・パレで開催されました。

写真家をはじめとする アーティストのマネージメント会社を経営するインジー は、スペシャルゲストとして招待されました。

今週の普通のパリは、インジーのプロフェッショナルな目でみた "パリ・フォト" についてのレポートです。

文:田中洋子 写真:インジーとその周りの人

映画「アメリ」ですっかり有名になったパリのサン・マルタン運河。アメリが偏平な石を見つけては、ポケットにしまって、ここに水切り遊びをしに来る。なんとも可愛い一人遊びができるイメージの 運河はインジーのスタジオ、ÔPOS の近所にある。

秋になってから "普通のパリ" は不思議とパリにしては青い空が続いたけど、この日のパリは雨模様。映画「アメリ」で有名になったサン・マルタン運河でのインジーの自撮りは本当に寒そう。

10月にあったパリ国際現代アートフェア、FIAC(フィアック)に引き続き、11月は "パリ・フォト" が同じ会場、グラン・パレで開催され、そのオープニングレセプションに、インジーが招待されたので、レポートをお願いしました。

"パリ・フォト" は、ギャラリー、美術商、写真関係の出版社等、写真と商業を結びつけるビジネスをしている人が主に参加する、展示会。

グラン・パレはベル・エポックを象徴する、屋根がガラスでできたフランス人も誇りに思う建築物で、ラグジュアリーブランドのファッションショーにも使われるような会場。シャンゼリゼ通りとコンコルド広場の中間に位置します。

PARIS PHOTOのしたに小さくある、VERNISSAGE(ベルニサージュ)とはフランス語で、絵画展覧会の開催日の前日、または、絵画展覧会のオープンパーティーという意味。これがひとつの単語で表現できるんだーと思う。黒いラグと黒いテーブル。ナイスショット。

田中:このインタビューで改めて、わかった。パリには国際的にアートを商業ベースにのせる、土台がしっかりとあるんだね。パリ・フォトも、アートフェアも、展覧会ではなく、いわゆる展示会だもんね。東京でいうと、東京ビッグサイト(東京国際展示場)なんかで開催されるタイプの。

インジー: (笑)そういえば行ったね。東京ビッグサイト。ハンドメイドマーケットだっけ?

田中:そうそう、minneの展示会で東京ビッグサイト、行ったね。それが、パリではパリ万博万国博覧会の際、1900年に建てられた会場、グラン・パレでできるっていうのが素晴らしいよね。それも、パリのど真ん中。

この建築のファサードは初期のボザール建築の典型例とされている。この建築様式を用いた、ニューヨーク公共図書館やグランド・セントラル駅などは、アメリカンルネッサンスと呼ばれることもある。日本にもこの影響の見られる建築物は多々あり、初代三井本館、大阪ビルヂング(ダイビル)、三越百貨店本店、明治生命館などなど。

インジー:そうねー。第1次、第2次の大戦も、ナチス占領も経験してる建物だから、いろんな側面から感じるとることができるところかもね。

田中:なるほど。ここでアートの展示会が開催されることが、どんなに平和なことか、感じることもできるもんね。

インジー:まさに、そう。

田中:フランスは地理的にもそうなんだけど、世界情勢と日常的に向き合う運命にあるね。

シャンゼリゼからグラン・パレにとことこと歩いて、このエレガントなガラスの屋根を堪能。目の前のプティ・パレにもよって、セーヌ川へ迎うと、世界一美しい橋とうたわれる、アレクサンドル3世橋に行けるという、オススメ観光コースでもあります。

インジー: それがパリの現実かもね。

田中:うん。ちょっと本題にはいるけど、パリ・フォトのオープニング・レセプションにインジーは招待されたから、ゆっくり見れたよね?気に入った作品教えて!

インジー:まずね、Julie Cockburnの作品に、ぐっときた。

骨董市なんかで見つけるような、一旦ゴミのように扱われた写真やポストカードの上に刺繍した作品。消費社会を示唆する、どこにでもあるようなオブジェクトの上に、Julie Cockburnが時間をかけて丁寧に、刺繍をしたアート作品なの。

とても緻密で、時間のかかったであろう刺繍だけど、子供っぽくもみえる、アクシデントのような構図がおもしろい。

田中:ほんとだ。素敵。刺繍の技術の緻密さもすごいけど、こんなに時間かけて丁寧に刺繍するには、ありえないデザイン。ピュアというか、狙った感のない。

インジー:いいよねー。ロンドンのアーティストで、コンセプチュアルな作品なの。消費社会はもはや古い価値、っていうメッセージが、こんな平凡な写真に、無心に刺繍をすることによって生まれてる。時間と手間をかけるとそこに、新しい価値が生まれるのよ、っていう。

骨董市なんかでよく見かける、一度はゴミとして
捨てられたであろう写真やポストカードに、謎の
構図で丁寧に刺繍してある。

田中: 星の王子さまで、サン=テグジュペリがいいたかったことに、近いね。

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」

でも気になるわ〜。この刺繍の構図。

次回につづく

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